『55年の恋心・恵達』
解説
かつて岡山に恵達という僧侶がいました。
彼は現世に嫌気がさしていました。
そこで生きながら棺に入り、念仏を唱えながら地中に埋めて貰いました。
そしてその念仏が途切れる頃、彼は天に召されている…筈でしたが、なんとそのまま55年もの長きにわたって地中で生き続けました。
彼が棺に入る前に、近くの村の人々が彼の成仏を願ってくれました。
その中に若い娘がいたのですが、恵達は彼女に恋をしてしまい、その雑念が妨げになって死にきれずにいたのです。
それを知った村人は、55年前に恵達が恋をしたという娘を探しました。
そして彼女を連れてきたのですが…、時の流れは残酷なもので、棺に入る前に見た若々しい娘も既に皴だらけの老婆になっていました。
恵達はその姿を見て、その場で白骨化してしまったそうです。
なんとも失礼な僧侶だな…。
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