『塀をなぎ倒した、未体験の輝き|岡山・電灯導入の歴史』
「火災予防」と「新しもの好き」の演出
今でこそ当たり前にある夜の明かり。しかし、1888年(明治21年)の岡山において、それは「塀が倒れるほど」の衝撃を伴って現れました。岡山県で初めて電灯が導入されたのは岡山紡績でした。
同社が電灯を取り入れたのは、前年に発生した工場火災を教訓とした安全のためと言われています。
しかし、その実態は、岡山で初めてイルミネーションを敢行し、「奉祝」の文字を光で浮かび上がらせた、進取の気性に富んだ企業の新しもの好きの精神によるものだったようにも思えます。
工場の外には、電灯を一目を見ようと群衆が押し寄せ、ついには工場の塀が倒壊するほどだったそうです。それくらい珍しいものだったのです。
人々が初めて電灯を間近で見た日
ただしこの時の電灯は工場の中なので、工場関係者以外が中に入ってみるようなことは出来ませんでした。それを岡山の一般の人々が「間近」で目撃する機会は、翌1889年に訪れました。岡山市に新築された郵便局でこけら落としとしで、一般公開が催されました。
この時、郵便局には電灯が導入されたのです。
当初3日間の予定だった見学会は、最終日に収集がつかないほどの混乱を招き、警察の出動と、2日間の会期延長という事態に発展しました。
これを逃せば次はないかもしれない―。そんな切実な好奇心が、岡山の夜を熱く焦がした五日間。
人々が暗闇の中に見たのは、新しい時代の到来を告げるまさに一筋の光だったのでしょう。今、生活の中に電灯があるのは当たり前になっていますが、これを開発し、普及させてくれた先人たちに感謝する気持ちも忘れずにいたいですね。
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画像:『電灯』

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