『最強の弓と、最強のお守り』
矢除けで評判のお守り
幕末の時代に岡山で熊野神社のお守りが流行った事があります。
矢除けのご利益があると言われ、戦地に赴いた際に矢に当たらずにいられるというのです。
その為、城下町ではお守りを売り歩く御札売りが出るほどでした。
買う側の侍もそのお守りの信憑性を高く信じていたわけではないようですが、ゲン担ぎのような感覚で購入していたようです。
しかしある時、ある御札売りが良くない侍屋敷に訪問してしまいました。
最強の弓と、最強のお守り
御札売りが訪ねてたのは、岡山藩で弓の名手として知られた斑鳩という侍の屋敷でした。
弓の名手である人物に矢除けのお守りを売りに行ったのですから、気分が良い筈が有りません。
斑鳩はおもむろに弓を手に取ると、それなら避けてみろと射てみせたのです。
逃げ出した御札売りを見て、斑鳩も脅しだけに留めておけば良かったのですが、調子に乗って追い打ちをかけてしまいました。
そしてついに放たれた矢が命中し、殺害してしまいました。
最強の弓と、最強のお守り。
まるで矛と盾のエピソードのようですが、この時は弓の勝ちと相成りました。
尚、この後で斑鳩はやりすぎであるとしてお国払いの憂き目に遭い、旅路の途中で自害して果てたそうです。
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画像:『矛盾』
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