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ブリ事件

『江田三郎と、戦後混乱期のブリ事件の真相』

ブリ事件とは

 「ブリ事件」―。その響きだけを聞けば、まるで昭和の喜劇か大衆小説のワンシーンのようですが、これは戦後間もない1947年、岡山県の政治の舞 台で実際に起きた一大スキャンダルです。のちに国政で大きな足跡を残す江田三郎が、まだ県議会議員だった頃の若き日の試練でした。

 物資が枯渇し、食料の入手すら困難を極めていた混乱期。その年末、県議会議員たちに対して「ブリ」が配給されるという出来事が起きます。
 しかもそれが、あろうことか「ヤミ物資」であったことが発覚し、世論や新聞から猛烈なバッシングを浴びることになりました。

 この時、江田三郎が選んだのは弁解でも隠蔽でもなく、全ての責任を背負っての「単独での議員辞職」でした。この潔すぎる身の処し方は、当時の地方政界において異例だったと言えます。

その後

 しかし、このブリ事件は単なる失態の記録としては終わりません。むしろ不正を許さない毅然とした態度と責任感の強さが、有権者や周囲に強い印象を残す結果となりました。

 県議を辞職した彼は、1950年に参議院議員へ当選して国政へ進出。
 1963年には衆議院に移り、のちに国政の場で絶大な人気と影響力を誇る大政治家へと登り詰めていきます。息子の江田五月氏へと受け継がれていく政治家としての原点が、この「幻のブリ」を巡る騒動の中にあったというのは、歴史の面白い巡り合わせです。


 たった一尾のブリをめぐる騒動が、一人の政治家の運命を大きく変え、そして日本の近代政治史にその名を刻むきっかけとなった。
 そう考えると、歴史とは本当にどこでドラマが生まれるか分からないものです。岡山が生んだ大物の若き日の苦い躓き。次に江田家の足跡に触れる時は、ふとあの冬の「ブリ」の匂いが思い出されるかもしれません。


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写真:ブリ
写真提供:イラストAC


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