TOP>コラム>コラム・岡山の事件簿>26.恐怖の眠り病

『絶望の眠りから、希望の夜明けへ|岡山・日本脳炎研究の記録』
「眠り」という名の、無情な病
かつて岡山県を中心に、人々に「眠り病」と恐れられた奇病がありました。
突然の発熱に襲われ、意識が混濁し、眠るように深い昏睡へと沈んでいく―。その正体は、当時まだ原因が特定されていなかった「日本脳炎」でした。
日本脳炎の致死率は約30%にも及びます。
幸いにして一命を取り留めたとしても、重い脳の後遺症に苦しむ人々が少なくありませんでした。昭和初期、正体不明の影に怯える岡山の人々にとって、この病はまさに「出口のない眠り」そのものでした。
林 道倫と、岡山医大の挑戦
この「眠り病」の正体を突き止めるべく立ち上がったのが、岡山医科大学(現在の岡山大学医学部)の研究者たちでした。
その中心人物である林 道倫―後に岡山大学の初代学長となる医師です。
彼は原因がウイルスであること、そして「蚊」がその媒介役を担っていることを世界に先駆けて突き止めました。
猿を用いたウイルス移植実験など、自らの危険も顧みない執念の研究。その積み重ねが、後のワクチン開発という大きな実を結び、現在では子供の内に予防接種を発症者を極めて少数にまで抑え込むことに成功しています。
※日本脳炎は発症時点で脳にウィルスが到達しており、治療が難しい病気であることは変わりません。致死率も当時と同じ30%程度で推移しています。予防接種を受けていない人は、近くの専門機関にご相談ください。
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写真:蚊
写真提供:イラストAC




