TOP>コラム>コラム・岡山の事件簿>27.観音丸事件
『幽霊船!?観音丸事件』
無人の漂流船
1926年2月、倉敷市の黒崎沖で一隻の帆船が漂流しているのが発見されました。
地元の警察官が船に入ってみると、中は無人でした。
船内には荒れ、血痕が飛び散っていました。
「すわ、幽霊船か!?」と思ってしまいそうな出来事です。
しかし船からは伝馬船が失われており、船に乗っていた人々が何らかの目的で船を捨てて離脱しているのだと考えられました。
真相
岡山水上警察署宇野分署(現在の玉野署)が船内を調査したところ、漂流していたのは長崎県の観音丸である事が判明しました。
船長と船員2名の計3名で出港。大阪へ木炭を降ろし、そこで受け取った荷物を運んで長崎へ帰る途中でした。
捜査を続けて行くと、浅口市寄島町で喪失していた伝馬船が発見され、更に同市の鴨方町で船員と思われる人物の目撃情報が得られました。
その男が朝鮮人であり、列車で下関へ向かっていた為、当時存在した朝鮮総督府警察へ連絡し、戻ってきた男の身柄を確保しました。
そして取り調べの結果、男は大阪で受け取った木炭輸送の運賃を強奪する目的で船長と、もう一人の乗組員を殺害した事が明らかになりました。
遺体は海に遺棄されており、事件から暫くして相次いで豊島に漂着しました。
関連リンク
写真:幽霊船のイメージ
写真提供:イラストAC