田の口港周辺を歩く3:古い町並みを歩く
田の口に残されている由加参りの名残は古い町並みだけではなく、当時の案内表示もあります。
この写真の石も良く見ると『右 ゆが』と書いてあり、参道への道しるべになっています。
由加山までの距離を示す『丁石』(○丁といった表示で訪れた人への案内になっていた、当時の道路標識)もあり、参拝に訪れた方が道に迷わないようになっています。
この田の口からのルートは由加山への南参道と呼びます。
船便では同じ倉敷市内の下津井や吹上港から来るルートが西参道で、玉野市の日比から来るルートが東参道です。
距離が西参道が90丁、東参道は96丁に対し、この南参道は36丁と、非常に便の良い場所でした。(※1丁は約110m位)
岡山市の迫川地区(旧灘崎町)にあるJR迫川駅は開業当時の名称が由加駅で、こちらも参道として知られていたそうです。
JR木見駅駅の周辺は岡山方面から来るルート、北参道になっていたそうで、現在でも鳥居が残されています。(距離は54丁)
両参りが盛んだった時代には他にも様々なルートがあった事が伝えられていますが、道路整備が進んだ現在では既に道として使われなくなってしまったルートもあるそうです。
こういう名残を追ってみると、由加山や両参りに対する信心がとても厚かった事が思われますね。
住友化学さんの方から参道へ入って歩くと、写真のような古い町並みが続きました。
現在は旅館らしい建物が見当たりませんでしたが、舟で来られた方は、ここで一泊してから、由加山へ向かっていたそうです。
倉敷市といえば江戸時代からの天領の町並みを残した美観地区もそうですし、由加山のすぐそばの町並みも景観を守るための制限が加えられているそうですが、この田の口地区の景色はただただ残されている昔ながらの風景です。
残念な事に既に人の住んでいない建物や、半ば崩壊が始まっている廃屋も目立つので、興味がある方は早めに行かないと、田の口の景観は失われてしまいかねません。
信心の暑さゆえなのか、庭先に小さな社を持っている民家も多く見られました。
ちなみに写真の建物は昔ながらの薬局です。
見た感じは営業していそうな雰囲気のある店舗でしたが、訪れた際は閉められており今でも営業しているのかどうかは判りませんでした。
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写真撮影:岡山の街角から
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