景観に配慮した瀬戸大橋の工夫
「景観の破壊」という最大の懸念
瀬戸大橋が架かる瀬戸内海は、日本の国立公園制度が創設された当初から指定されている、多島美が魅力の景勝地です。
その国立公園の中心部に巨大な橋を架けるという計画は、建設技術とは別の深刻な問題を提起しました。財団法人国立公園協会からも「景観の破壊」を懸念する報告書が出され、「ただ橋が通ればいい」というわけにはいかない状況に陥ったのです。
瀬戸大橋は、単に実用性を備えるだけでなく、美しい景観に溶け込み、むしろ新しい景観を生み出す橋でなければなりませんでした。
航空法の壁と景観のための配色
瀬戸大橋を瀬戸内海国立公園の自然と調和させるための最初の難関は、当時の航空法でした。
当時の規制では、高さ60メートル以上の塔のような建造物には紅白の塗装を施すことが定められており、瀬戸大橋の主塔もこの例外ではありませんでした。
美しい多島美の中に紅白の橋を建てることは、景観を大きく損なうことになります。そこで、建設側は航空障害灯の方が視認性が良いというデータに基づき、この紅白塗装の規制を外すことに成功しました。
風景画家・東山魁夷が秘かに提案した色
規制が外された後、自然に最も溶け込みやすい色を探す作業が始まり、最終的に現在のライトグレーが決定しました。
この色を提案したのは、著名な風景画家・東山魁夷です。
しかし東山氏は、風景画家である自身が風景を破壊しかねない巨大プロジェクトにアドバイスをすることに非常に慎重でした。そのため、彼は自分の名前が表に出ることを好ましく思わなかったと言われています。
現在、瀬戸大橋はそのライトグレーの配色により、周囲の風景と完璧に調和し、瀬戸内海国立公園のシンボルの一つとして多くの人々の目を楽しませています。

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写真:鷲羽山トンネル
写真撮影:岡山の街角から
最終更新日:2025.9.18

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